みんなのミドリムシはどう解析される?-④読んだDNAの比較-

各地でみなさんに採取し送っていただいたミドリムシ。微細藻類生産制御技術研究チームの研究室では、どのように解析されるのでしょうか。

手順は大きく4つ。①送っていただいたサンプルを培養して、②セルソーターを用いて単離し、③培養した各ミドリムシ候補についてDNA配列を読み、④読んだDNA配列を比較します。ここでは、④読んだDNA配列を比較することについてご紹介します。

特徴の比較を系統樹で表現

図1 クリップの特徴と系統樹(文献1より改変)

突然ですが、「系統樹」ってご存じでしょうか?みんみどサンプルの読んだDNA配列は、この系統樹を使って比較します。

系統樹とは、何らかの特徴の違いを木の構造で表現したもの。例えば、図1のクリップ。皆さんよく見たことあるパンの袋とかを留めているアレです。クリップ1つとってもたくさんの特徴があり(図1上)、各特徴を比較することで様々な形のクリップの関係性を枝分かれを使って表現することが可能です。確かにクリップの系統樹を見てみると、同じグループ(同じ縦列)のクリップはどことなく似ていますね(図1下)。

DNA配列の比較は分子系統樹で表現

図2 DNA配列解析結果(2020年度まで)より

では、クリップと同じようにみんみどの系統樹も見てみましょう。図2は、みんみどサンプルから樹立された各細胞株のDNA配列(ITS2)を読み、分子系統樹に表したものです。※DNAを比較した系統樹には”分子”が付きます。

クリップのものより多少複雑ですが、左から右に行くにつれ、枝分かれしています。枝の分かれた部分は、配列が異なるということです。同じ枝先にあるサンプルのDNA配列はほとんど同じ。枝の長さはDNA配列が変化するのにどれだけ時間がかかったかを表現しています。

こうして結果を見てみると、同じサブグループ(枝先)にあるものでも、新潟や埼玉で採取されたサンプル由来のものがあったり、神奈川で採取されたものでもずいぶん離れたサブグループにあったりして大変興味深いです。細胞増殖などの特徴は、各ミドリムシ株のサブグループも考慮して解析しています。

自分が採取して得られたミドリムシ株が、どのサブグループに入るのか。ご近所の株はどうかな?など、是非じっくり(図を拡大して)見てみてくださいね!